勘定奉行クラウドと勘定奉行i11の違い
2018年に勘定奉行クラウドがリリースされ、徐々にユーザー様が増えるとともに、従来型の勘定奉行i11/J11と比較してどちらが良いか相談を受ける機会も増えてまいりました。
究極的にはお客様ごとに回答は異なりますが、本ページでは長年奉行シリーズの導入支援を担当してきた販売店の立場から、それぞれの違いと検討段階におけるアドバイスを記載します。
要旨
新規に導入されるなら、勘定奉行クラウドをおすすめします
奉行シリーズは、長年機能強化を続けてきましたが、OBCは今後奉行クラウドを主要製品と位置づけると明確に打ち出し、現に奉行クラウドでしか利用できない機能が増えています。
今後の製品寿命の観点からも、勘定奉行クラウドから使い始めた方が後々のシステム移行などの手間が少なく、新たな機能による業務生産性向上の恩恵を受けることができます。
ソフトウェア 新規購入
旧製品からバージョンアップされる場合も、将来を見据えると勘定奉行クラウドをおすすめします
新規導入の場合と同様、OBCは今後奉行クラウドを主要製品と位置づけると明確に打ち出しています。一方で、データの持たせ方など、従来製品との差異もあります。
データ移行の可否や予算を踏まえて、基本的には「勘定奉行クラウド」を軸に検討を進め、困難であれば「勘定奉行i11」「勘定奉行J11」を採用する事をおすすめします。
ソフトウェア バージョンアップ
勘定奉行クラウドと勘定奉行i11との業務比較
業務の所要時間については、いずれもOBC調べです。
銀行入出金の仕訳入力
3つの法人口座の記帳を行い、100明細分の仕訳を入力する場合
5分/月
インターネットバンキングと連携し、入出金データを元に自動的に仕訳入力
・仕訳候補は、システムに登録する前に確認可能
・入出金データの仕訳は手入力を介さずに起票
・手入力によるミスが起きないため、照合作業は不要
8時間/月
全ての取引について、仕訳伝票を逐一手で入力
・記帳した通帳や、インターネットバンキングの入出金履歴を目視確認
・全ての仕訳を手入力
・残高が合わない場合、目視で伝票と照合する
Excelからの転記による仕訳入力
100明細分の仕訳伝票を手入力する場合
1.5時間/月
Excel等のデータがあれば、仕訳の一括入力が可能
・Excelの支払一覧表データ等をドラッグ&ドロップすると自動的に取込み
・Excelデータの各項目と、勘定奉行に登録するデータ項目の「関連付け」が自在
・仕訳候補は、システムに登録する前に確認可能
・手入力しないため、入力ミスが起きない
3時間/月
全ての取引について、仕訳伝票を逐一手で入力
・紙ベースやExcelで作成した支払一覧表等を確認しながら、手入力
・もしExcelベースの表を作っているなら、会計システムとの二重入力が生じている
・残高が合わない場合、目視で伝票と照合する
税理士とリアルタイムデータ共有
決算時の税理との情報のやり取り
顧問税理士からデータが戻ってくるまでの
手待ち時間なし
無償で提供される専門家ライセンスを使って、税理士と常に同じデータを共有
・税理士へデータを受け渡す作業は、一切必要なし
・データ輸送、送信時のリスクや、待ち時間を完全に排除
・税理士による確認と並行して入力可能
顧問税理士からデータが戻ってくるまで
数日の手待ち時間が発生
外部メディアにバックアップデータを書き出し、相互に輸送する
・データを圧縮し、パスワードを設定後、税理士へ渡す
・税理士がデータを確認している間、新たな入力や修正はできない
・待機中に見つけた修正がある場合は、税理士に連絡
・税理士から送られてきたデータを復元
勘定奉行クラウドと勘定奉行i11/J11の違い
奉行クラウドは、クラウド製品ならではのワークスタイルを実現できる「一歩先行く勘定奉行」です
勘定奉行クラウドは、勘定奉行i11でできる基本的な機能は全て備えています。
その上で、奉行クラウドにのみ搭載されている下記機能を存分に生かすことで、「導入するだけで業務生産性を高めることができる会計ソフト」となっています。
- いつでもどこでも最新のデータにアクセスできる「クラウド型ワークスタイル」を実現
- 税理士との情報のやり取りをリアルタイムで行える「専門家ライセンス」が付属
- クラウド型会計ソフトの代名詞ともいえる「銀行入出金明細を元に仕訳起票を行う機能」を搭載
- 追加のオプション契約なしで電子帳簿保存法対応を実現できる
- データの自動バックアップとプログラムの自動更新で安心、突然の機器トラブルとも無縁
データ容量の制約が、移行にあたってのネックです
クラウドサービスは、データをクラウド上に預ける形態をとるため、容量の問題が生じます。
データサイズは「登録明細数」という概念で管理されます。
これを上回る場合に上位プランへの契約替えが必要となり、状況によってはコストが嵩みます。
料金・利用環境の比較
機能項目 | 勘定奉行クラウド | 勘定奉行i11/J11 |
初期費用 | 0円~ | J11:22,000 i11:176,000円~ (Bシステムの場合) |
ランニング費用 | 年額 79,200円~ (iEシステムの場合) |
J11:44,000円 i11:70,400円~ (いずれも保守費用) |
保守加入 | 不要 (利用料に含まれる) |
必要 |
サーバの購入・管理 | 不要 | ▲ (スタンドアロン版のみ不要) |
複数台のPCでの利用 | ○ インストール台数制限なし |
J11:× i11:○(サーバが必要) |
専門家ライセンス | 無償付帯(1ライセンス) | 設定なし |
プログラム更新作業 | 不要(自動) | 必要 |
データのバックアップ | 不要(自動) | 必要 |
セキュリティ対策 | 不要 | 必要 |
バージョンアップ | 不要 | 必要 |
具体的な機能の比較
機能差異について、代表的な項目を抜粋して掲載します。
機能項目 | 勘定奉行クラウド | 勘定奉行i11/J11 |
管理可能領域(会社)数 | 1 | i11:無制限 J11:10 |
データ容量 | 契約プラン毎に登録上限明細件数が定められています | ハードウェアに依存 (実質無制限) |
仕訳入力/帳簿入力 | ○ | ○ |
仕訳予約 | ○ | i11:○ J11:× |
銀行入出金明細からの自動起票 | ○ | × |
エクセルシートからの起票 | ○ | × |
電子帳簿保存法対応 | ○ 標準機能のみで対応可 |
▲ 証憑保管オプションが必要 |
証憑収集 | ▲ 証憑収集オプションが必要 |
× |
アップロードした証憑を見ながら仕訳起票 | ○ | × |
連続用紙のサプライ印字 | × | ○ |
奉行クラウドでは利用できない機能
ご利用の少ない一部の機能は、奉行クラウドには搭載しておりません。
- キャッシュ・フロー確認表/部門指定による出力
- 損益分岐点分析/シミュレーション機能
- 汎用データ作成/処理状態の加味
- 汎用データ作成/奉行11・10・8 形式
- 汎用データ受入/奉行21形式の仕訳伝票データ
- 汎用データ受入/奉行11・10・8 形式の部門グループデータ
- 仕訳処理/電子記録債権処理
- 分析帳票/ABC分析 など
また「勘定奉行クラウド」に移行後も、固定資産奉行、償却奉行、申告奉行[法人税・地方税編]、申告奉行[内訳書・概況書編]、給与奉行、商奉行、蔵奉行の各製品を「奉行クラウド」に移行していない場合は、直接連動ができません。CSVファイルに保存して連携します。
その他、詳細はOBCホームページ「コンバート元の製品」との機能差異をご覧ください。
ソフトウェア 新規購入
ソフトウェア バージョンアップ
旧製品から奉行クラウドへ移行される場合の留意事項
奉行シリーズから奉行クラウドへの移行に当たっては、製品の性質の違いを理解することが肝要です。特定のソフトに限定されない、共通の事柄については下記ページにまとめておりますのでご一読ください。
奉行クラウドへ移行するお見積依頼をいただくにあたり
奉行シリーズから奉行クラウドへのデータコンバートは可能です。
ただし、奉行クラウドへの移行時は、データ形式に差異があるため、事前に「データコンバート事前確認ツール」用い、データコンバートの可否をご確認いただく必要がございます。
「データコンバート事前確認ツール」は、OBCが運営している奉行クラウドヘルプセンターにある「データ移行のための準備・確認」ページをご参照ください。
利用手順が分からない場合、当社でもサポートいたします。
お見積り依頼の際は、「データコンバート事前確認ツール」を動作させることで出力される「データコンバート事前確認レポート」の情報をお送りいただくとスムーズです。
問い合わせフォーム内に、データコンバート事前確認レポートで出力されたテキストをすべて貼り付けてお送りください。
また、「コンバートできないデータです」と表示された場合にも、何らかの打開策が得られる可能性がありますので、一度ご相談くださればと存じます。