OBC奉行シリーズにおけるe-Taxまたは光ディスク等による法定調書の提出義務化対応について
2024年10月現在、e-Tax(電子申告)または光ディスク(CD-ROM、DVD-ROM)による提出義務化の対象となるのは前々年に提出すべきであった当該法定調書の枚数が「100枚以上」の場合です。
さらに、今後基準が「100枚以上」から「30枚以上」へと、大幅に引き下げられることが決定しています。
これを踏まえ、OBCの給与奉行ユーザー様を念頭に、確認・対応すべきポイントについてご案内します。
本ページは、2024年10月9日現在の情報をもとに、OBC認定販売店(OAP)である当社・ミモザ情報システムが公開しております。
このページの目次
e-Taxまたは光ディスク等による法定調書の提出義務化基準
まずは、自社が義務化対象か否かを把握しましょう。ポイントは下記のとおりです。
前々年の法定調書(源泉徴収票や支払調書等)の提出枚数を調べる
判定基準年である令和4年(2022年)の法定調書合計表の控えに、種類別の法定調書の提出枚数が記載されています。
100枚以上となった場合e-Taxまたは光ディスク等による提出が必要です。
- 判定は、法定調書の種類ごとに行う
・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書 等
それぞれ、種類別に100枚以上か否かで計算し、異種間の通算はしない - 提出方法として、e-Taxまたは光ディスク等と、紙との併用は可能
源泉徴収票は電子申告、報酬等の支払調書は紙で提出など - 各法定調書には、それぞれ提出が必要となる要件が定められており、発行枚数(支払人数)と提出枚数(申告人数)の間に差がある
例:源泉徴収票の提出基準は、給与等の支払い金額が500万円を超えるもの等
(「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等/国税庁)
例えば、給与所得の源泉徴収票の提出枚数は、在籍社員数とイコールではない点に注意が必要です。 - 提出義務の判定は提出義務者ごとに行う
支店等が個別に源泉徴収票を提出している場合は、それぞれの支店ごとに判定
市町村に提出する「給与支払報告書」について
上記要件に該当する場合、従業員の居住している市町村に提出している「給与支払報告書」についても、『eLTAX(エルタックス:地方税申告システム)』または光ディスク等により、電子データで提出する必要があります。
単一の市町村単位では100枚に満たなくても、源泉徴収票の提出枚数が100枚以上であれば、義務化の対象となります。
反対に、給与支払報告書の総提出枚数が100枚以上でも、源泉徴収票の提出枚数が100枚未満ならば、義務化の対象ではありません。
義務化基準の引き下げについて
令和9年(2027年)1月提出分(すなわち、令和6年・2024年の年末調整により作成した法定調書の提出時)より、e-Taxまたは光ディスク等による法定調書の提出義務化の基準が「100枚以上」から「30枚以上」へと引き下げられ、対象の法人が大幅に増加します。
義務化基準引き下げへの備えとして、今から電子申告を検討してみませんか?
義務化対象の給与奉行ユーザーはどうするべきか?
電子申告(eーTax・eLTAXの利用)を行う場合
原則、電子申告方式をお勧めします。
事務所に居ながらにして手続きが完結する、印刷や郵送などの作業が不要、特に地方税についてはeLTAXへの一度の申告操作のみで、関係市町村すべての申告が完了するなど、大きな業務効率化・合理化効果が期待できます。
電子申告をすることになったら、具体的に何をすれば良いか?
国税(e-Tax:イータックス)の準備
- 税務署に、電子申告の開始届出書を提出
- 利用者識別番号を入手
- 電子証明書の取得(有償)
- 法定調書奉行の導入(インストール~初期設定)
前提として、電子申告は、顧問税理士様がおられる場合、税理士様が既に利用されている場合があります。
そのよう場合は、貴社からの税務署に対する届出や、利用者識別番号の取得について、すでに税理士様が代理で済まされています(その場合、利用者識別番号は税理士様と共有することになります)。
年末調整業務の、自社および顧問税理士様、および顧問社労士様との担当範囲・分担は、企業ごとに様々なケースがあります。
顧問税理士様、および顧問社労士様とあらかじめよく相談の上、進めるようにしてください。
また、上記手順はいずれも、順番にしていかなければならないものではなく、並行して進めることが可能です。
また、1.2.の手続きはインターネット(e-Taxサイト)でできます。
電子証明書は、発行機関・有効期間・費用などさまざまです。
電子証明書の取得/e-Taxサイト
地方税(eLTAX:エルタックス)の準備
- eLTAX上で利用届出を行い、利用者IDを取得
- eLTAX上で提出先の自治体を登録
- 電子証明書の取得(有償)
- 法定調書奉行の導入(インストール~初期設定)
地方税の電子申告システムが「eLTAX」です。
eLTAXを利用すると、関係する自治体ごとに複数回に分けて行っていた申告業務を、一度で済ませることができる利点があります(eLTAXへの申告情報は、自治体横断で共有される仕組みです)。
e-Tax同様、eLTAXも、顧問税理士様がおられる場合、税理士様が既に利用されている場合があります。
顧問税理士様、および顧問社労士様とあらかじめよく相談の上、進めるようにしてください。
電子証明書は、要件を満たしていれば、国税(e-Tax)と共用できます。取得先を選択する際は、事前に必要要件を確認しておきましょう。
電子証明書の準備/eLTAXサイト
法定調書奉行の導入
源泉徴収票および給与支払報告書、法定調書合計表について、e-TaxおよびeLTAXに適合する形式のデータを作成するためには、法定調書奉行が必要です。詳しくは、次項をご覧ください。
法定調書奉行の導入について
光ディスク(CD-ROM、DVD-ROM)等による提出を行う場合
光ディスク等による提出をすることになったら、何をすれば良いか?
- 法定調書奉行の購入(インストール~初期設定)
- 税務署へ光ディスク等による提出の事前申請(※1)
- 市町村へ光ディスク等による提出の事前申請(※2)
- 市町村に対するテストデータの提出(※3)
※1 e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務化対象者は不要。
※2 現状、要不要は自治体によりまちまちです。
※3 現状、要不要は自治体によりまちまちです。
法定調書奉行によって調製されるデータは、もともと国税庁が開示しているデータ形式に沿ったものであり、定められた手順通り作成してあれば「不適」となることはありません。
通常、光ディスク等で提出する場合は、事前に管轄税務署に対し、申請が必要です。
ただし、電子化義務化対象となっている場合は、税務署に対する手続きは不要です。
(タックスアンサー:No.7451/国税庁)
一方、市町村向けに提出している「給与支払報告書」についても、e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務化対象者は、同様にeLTAX又は光ディスク等による提出が義務化されます。
事前の申請の要不要については、それぞれの自治体へ確認してください。
また、申請期限は提出の2か月前と定められている事が多いので、ご注意ください。
≪参考情報(国税庁サイトより)≫
・法定調書の光ディスク等による提出のご案内
・光ディスク等による法定調書の提出
法定調書奉行の導入
源泉徴収票および給与支払報告書、法定調書合計表について、光ディスク等に保存して提出する形式のデータを作成するためには、法定調書奉行が必要です。詳しくは、次項をご覧ください。
法定調書奉行の導入について
法定調書奉行の導入について
法定調書奉行は、法定調書の電子申告や光ディスク等へのデータ出力だけにとどまらず、法定調書作成における種々の業務を大きく効率化する機能を持っています。
奉行シリーズ間でのデータ連動
給与奉行や人事奉行のもつ社員情報、給与奉行で蓄積した給与計算データなどはすべて連動します。
電子申告を奉行の画面上で完結
とっつきにくいe-Taxの画面を操作することなく、普段使い慣れた奉行の画面上で申告作業を完結できるので、安心・スムーズです。
支払調書の発行と計算機能
法定調書作成ソフト未導入企業では、多くの場合外部支払先に対する支払調書はエクセル等で作成されています。
これらのデータは散逸しがちで、印刷した紙による管理となっていることも多く、必然的に年末の集計も手計算になってしまいます。
支払調書の発行をシステム化することにより、支払データを蓄積し、報酬等の種類に応じた源泉徴収額等もすべて自動計算、自動集計することができるようになります。
税務署への提出の要不要判断も自動で行います。提出方法も、紙、電子申告、光ディスク等に対応。
法定調書行合計表を素早く作成
面倒な法定調書合計票の作成も、支払調書データと、給与奉行の給与データから自動的に集計し、作成できるため、面倒な合算作業をなくせます。作成した合計表は、そのまま電子申告可能。
各種控除申告書をプレ印字可能
年末調整時に社員に書いてもらう、各種控除申告書について、あらかじめ住所や家族などの社員情報を印字した状態で配布できます。従業員様の負担を軽減させるとともに、書き方などの無用な問い合わせを防いだり、提出後の対照の手間を省いたり、といった効果が見込めます。
法定調書奉行 購入時の注意点と選び方
通常、給与奉行の社員情報や給与・賞与・年末調整データは、CSVファイルなどを介さずに、法定調書奉行へ直接連携させることができます。
ただし、異なるバージョン間では、データ共有はおろか、同一パソコンにインストールできないなどの不都合が生じるおそれがあります。必ず、既に利用している給与奉行と同一のバージョンで揃えるようにしてください。
例年、年末調整時期は、問い合わせが殺到しサポートセンターの電話が非常につながりにくくなります。
法定調書奉行の導入に伴う電子申告機能のセットアップを予定されている場合は、特に早目に導入・設定を済ませておくことをおすすめします。
奉行クラウドは、従来のオンプレミス版奉行シリーズと互換性がありません。
このため、給与奉行i11と法定調書奉行クラウドといった、クラウド版とオンプレミス版を組み合わせての利用は想定されておりません。
よくある質問
OBC奉行シリーズにおける法定調書の電子提出の義務化対応について、よくある質問と回答を列挙します。
法定調書のe-Tax、光ディスク等による提出、給与奉行だけでは対応できないの?
給与奉行単体では、法定調書に係るデータ出力ができないため、対応できません。
既に給与奉行で電子申請(e-Gov)をしているのに、対応できないのですか?
電子申請(e-Gov)と電子申告(e-Tax、eLTAX)では、提出先・連携先および、必要となる情報が異なります。
給与奉行は、単独では電子申告(e-Tax、eLTAX)に対応していません。
法定調書奉行の導入を回避してe-Tax、光ディスク等による提出に対応できないか?
e-Tax、eLTAXおよびそれらが無償提供する申告書作成ソフトを利用することで、対応できます。
ただし、奉行のデータを直接連携できませんので、提出書類1枚ごとに、手入力による転記、確認などの作業が必要となり、相応の時間と労力がかかります。画面構成も、奉行シリーズとは全く異なるため、新たに習熟が必要です。
また、電子申告導入に伴い必要な手続き(税務署への申請、電子証明書の購入など)は回避できません。
法定調書奉行の導入に費用を投じるメリットはあるのか?
電子申告の導入が実現すれば、部分的であっても、業務のペーパーレス化ができます。郵送や訪問など、書類の提出に係るコストが削減できるだけでなく、例えば市町村宛に仕分けして送っていた給与支払報告書を、eLTAXへの一回の申告のみで済ませられるなど、年末調整業務だけでも、大きく効率化します。
法定調書奉行のもつ機能について詳しくは、法定調書奉行の導入についてをご覧ください。
社の方針で、電子申告を導入したくありません
光ディスク(CD-ROM、DVD-ROM)等で提出する方法があります。
法定調書奉行を利用すると、法定調書合計表および給与支払報告書について、指定形式でのデータで出力できるため、光ディスク等による提出に対応できます。
光ディスク等による提出方法について詳しくは、光ディスク等での提出を行う場合をご覧ください。
光ディスク等として認められるメディアの種類について
CD-ROM、DVD-ROMが該当します。
SDカードやUSBフラッシュメモリは認められませんのでご注意ください。
給与奉行から出力できる汎用データ(CSV)形式の年末調整データをCDにコピーし、それを提出する方法では認められませんか?
給与奉行から出力できる汎用データは、税務署の定めるデータ形式と異なるため、認められません。
法定調書奉行を利用することで、指定形式でのデータを出力できるため、CD-ROM提出に対応できます。